プラモデル

超個人的オススメ小説『ガンダム・センチネル』

ドーモ、垂れ坊です

今日紹介する本はこちら

今回は完全に個人的に皆さんにオススメしたい小説を紹介するだけなので、タメになるとか学びがあるとかそういうの一切ないです。もしあるとすれば

・ガンダム・センチネルという作品についてある程度の知識を得られる

・ガンダムの小説読んだことないって人にとってデビュー作になる可能性がある

これぐらいしかないです。

それでも良いという方はぜひ最後まで見ていってください。そして「ガンダム・センチネル」という作品を少しでも多くの方に広めてくださると嬉しいです

ではいきましょう!

商品の紹介

この小説は模型雑誌『モデルグラフィックス』で掲載されていたモノを加筆・修正した作品

雑誌掲載時では背景の都合や文章のレイアウトのせいで少々読みにくかった点もしっかり改善されているので、個人的には非常に読みやすくなっていて嬉しい

ただ、全265ページ、2段組の文章構成なので文字数的には同じページ数の小説より多めなので、読み慣れていない人には少々気合を入れなきゃならないかなと思ってます

ガンダム・センチネルとは

まずガンダム・センチネルってどんな作品? という方に向けて簡単なあらすじから

あらすじ

宇宙世紀0088年、グリプス戦役末期。

ティターンズの掲げる「地上至上主義」に共感する連邦軍教導団の一部将校が武装蜂起。教導団の根拠地である小惑星ペズンを制圧した彼らは、「ニューディサイズ」と名乗り、地球連邦に対し徹底抗戦を宣言。

対する連邦政府は、彼らを討伐するためガンダムタイプのMSを中心とした少数精鋭「α任務部隊」を派遣する。

しかし部隊の実態は、新任将校と問題児だらけの新兵、実戦未経験艦と不採用の機体の寄せ集めと、精鋭とは程遠いものだった

彼らは(体裁上は)最新鋭機を投入することでニューディサイズ側の戦意喪失を狙って組織された、いわば「張子の虎」なのであった。

真の精鋭であるニューディサイズと、名ばかりの精鋭であるα任務部隊との激突……後に『ペズンの反乱』と呼ばれる戦いの始まりである。

作品の特徴

1:魅力的なMSが多い

この作品には合計で10種類の(武装違い、既存作品からのMSは除く)MSが登場します

本当は全部紹介したいのですが、正直いくら書いても足りなくなるので、今回はその中でも特に個人的に好きなMSを紹介します

1:Sガンダム

まずはご存知ガンダム・センチネルの主人公機

状況に合わせて様々な装備に換装して任務に当たる事ができたり、3つのメカに分離する事ができる優れモノ

最大の特徴はALICEと呼ばれる人工知能が搭載されている点

元々はMSの無人化を目的としたシステムで、そのための学習機能も搭載

作中ではパイロットの言動から感情を学習して急速に成長。中盤の戦いでは危機的状況に陥った際にパイロットから制御を奪って勝手に動いたりする(自分の意志を無視して勝手に動き出す兵器とか怖すぎて乗りたくねえって思う人もいるけど、それで命が助かったなら多少はね……)

2:Zプラス

『機動戦士Zガンダム』の後編主役機である『Zガンダム』の量産型。間違いなくこの作品で一番待遇が良い

様々なタイプが存在しており、この作品で出てくるのは『C1型』と呼ばれる機体

このいかにも「量産機!」といったカラーリングが、Z特有のシャープなプロポーションとよく合うと断言するのは俺だけじゃないと信じたい

機体の色と同じくらい作中華々しい活躍はしてないが、Sガンダムの随伴機として戦い、堅実な運用で部隊を支え続けた

ちなみに別のタイプには、アムロ・レイが搭乗した機体があったり、ガンダムUCなど比較的新作にも登場してたりと作中以外で何かと恵まれている

3:FAZZ

呼び方は「ファッツ」。個人的に全MSの中で一番推せる機体

元々は『機動戦士ガンダムZZ』に搭乗する「フルアーマーZZガンダム」の機体性能を確かめるためだけに作られた試験機。作中では三機編成で運用されていた

最大の武器は肩に担いでいる大型ビーム兵器『ハイパー・メガ・カノン

ZZガンダム最大の武器である『ハイ・メガ・キャノン』よりなんと60%も威力が高く、インターバルを入れれば連射も可能という優れモノ。あまりの威力に敵のパイロットからは戦艦の砲撃と思わせるほど

作中ではこの大型兵器を駆使した後方支援でその如何なくを発揮した

ちなみにこの機体だけは作中で明確な評価がされており、作中のキャラ「ストール・マニングス」の言葉を借りると次のとおりである

スペック上はまだしも、実際にはあのMSはハリボテに過ぎませんな

オメー、ゲームのCVが大塚明夫だからって言って良いことと悪いことがあるんじゃないかなぁ……

とはいえ、悲しいかなそう言われても仕方のない面があるのは確か

実は見た目は本家と遜色ないのだが、様々な部分で簡略化されている

挙げるなら、全ての武装が遠距離のみでビームサーベル等近接武器未実装(加えてZZガンダム最大の武器であるハイ・メガ・キャノンもない。それらしいモノはついてるけど、あくまでバランスを見るためのダミー)、装甲が本家よりグレードが下などなど……

早い話が「純然な支援機としては悪くないが、戦場の中核を担う程の力はないガンダム」なのである

そして後方支援機故に接近されたら脆く、敵のMS「ガンダムMk-V」に接近戦を仕掛けられて全機撃墜されてしまっている(ついでに言うとα任務部隊で唯一全滅したガンダムタイプだったりする)

4:ガンダムMk-V

ニューディサイズのガンダム。作中でFAZZを全機宇宙の塵にしてくれやがった憎いヤツ。

でもガンダムらしからぬ顔の造形や機体のプロポーションなど、個人的にすごい好みな要素が満載なんだからかなり複雑である

武装も強力ながら、操縦者である「ブレイブ・コッド」の技量が合わさった結果、作中では群を抜いた強さを発揮。FAZZのみならず多数のMSを単機で撃墜する様はまさに無双状態

中盤の戦いでも武装強化形態である「Ex-Sガンダム」を圧倒。リョウを主人公とは思えないほど情けなくビビり散らかすほど追い込んだが、内蔵されていたALICEにより僅差で敗北した

つまりALICEがいなければ主要MSがこいつ一機相手に全滅していた可能性もあったんだから末恐ろしいものである

ROBOT魂やガレージキットなどで立体化されていたが、つい最近念願のMGによるプラモ化を果たした。

2:多彩な男達による群像劇

この作品、キャラの男女比が「99:1」ぐらいの割合と、とにかく男臭い

確かにガンダム作品は扱ってるテーマ上男性陣の割合が多くなりますが、それでもメイン・サブで魅力的な女性陣もそれなりに出てくるのが普通です

しかしこのガンダム・センチネルは違った……!

右を向いても左を向いても、男、男、男である

そして唯一の女性要素が人間じゃなくMSに搭載されているAI。しかも役割上他の登場人物とは全く絡まない。というかほとんど認識されてすらいない

つまり実質人間は男しかいません

そんな圧倒的人数による男達が繰り広げる物語が魅力の一つ

物語、と一言で言っても多彩なキャラクターがいるため、彼らのどこにフォーカスするかによって見え方も変わってきます

それは戦争を知らず、英雄願望ばかり持っていた新兵達が戦いの中で成長していく物語であったり、はたまた些細なきっかけで道を違えてしまった悲しき友情物語であったり、もしくは自らが歩む道に迷った一人の男の物語だったりと、キャラによって様々な面を見ることができます

個人的に特に気に入っているのは、主人公の「リョウ・ルーツ」と、彼の上官であり作品の重要キャラでもある「ストール・マニングス」の関係

リョウは、最初こそマニングスの事を「口がうるせぇおっさん」ぐらいの認識だったのが、交流を通じて「超えるべき存在」となっていく過程は、リョウの明確な成長っぷりを感じさせてくれます(物語序盤、スペックで圧倒的に劣るネロに乗ったマニングスに、ガンダムに乗った自分がなすすべもなく負けた時、軍に入ってから初めて上官に対して素直に頼み事をしたという描写から既に兆候はあったんじゃないかと思ってます)

敵側であるニューディサイズなら「ジョッシュ・オフショー」が個人的には気に入っているキャラです

最初は周囲に認められながらも流されてきたこの青年が軍に入隊した理由が「心境に変化があるかもしれない」と理由だったのは、正直「軽っ!」と思ったのが素直の感想でした(まあ主人公のリョウからしてMSの操縦を覚える訓練学校代わりに軍に入ってるのを鑑みると、センチネルの若者の行動理由は割と軽いのかもしれませんが)

そこで思い描いていた「パイロット同士の自分の技量をぶつけ合う真剣勝負」のある戦争などないという現実や、自分より未熟なパイロットが機体性能だけで自分を圧倒したという出来事に心乱されるなど、リョウ達とはまた違った「若さ」に苦しむ様が、他のキャラにはない人間らしい生々しさを感じる事ができたのが、個人的に好感を覚えた点です

作品の欠点

アニメ化の期待ができない

この一言に尽きます

この作品は雑誌掲載当初からゴタゴタが続いたことによる遺恨が残っていたり、版権関係などが複雑に絡み合っていたりと、大人の事情が非常に面倒な状況になっていた……というのも大きな理由ではありますが、こちらは本編に登場した機体のみならず設定のみある機体までもが続々とプラモ化されているところを見るに、解消されつつあるんじゃないかなと思ってます

なので、上記以上に問題となってるのは……

センチネルのMS達はどれもこれも動かすには線が多すぎる……!

個人的にこれが主な原因だと思っています

その証拠にこちらを御覧ください

こちらは上記で紹介したのとは違うバージョンの主人公機「Ex-S ガンダム」なのですが、見ての通りかなりディテイールが細かいです。ロボットの質感や重厚感を表現する事をコンセプトにしている「METAL ROBOT魂」シリーズという事を考慮してもなお細かい

これを動かすのはCG全盛の昨今のアニメでも少々面倒じゃないかなと

実際、数年前に放送されたアニメ「ガンダムビルドファイターズ」にも登場しましたが、その時間はわずか数秒。しかもほぼ不動でした

つまり普通にテレビ放映作品で作るのはほぼ無理なレベルだと思ってます

なので原作を完全再現するとなると、もはや劇場作品もしくはOVAというのを前提で作るしかないです。というか作ってください

*なお非公式ながらファンが自主制作でアニメ作ってたりエイプリルフールネタで特報風動画を作ってたりもしてるので、興味がある方はご覧になってみてください

最後に

ガンダム・センチネルはゲーム等でちょくちょく登場してるので、ガンダムファンからの認知度はかなり上がっている作品ではあります

それでも他のガンダム作品と比べるとまだまだ……というのが個人的な感覚です

なので、もっと色んな人にこの作品を知ってほしいという……建前と、ぶっちゃけ「ガンダム・センチネル」という作品について語りたかったという本音が合わさった結果、この記事を書きました

最初に紹介した小説を読むのもアリですが、模型と一緒に楽しみたいのでしたらこちらの雑誌もオススメします

小説パートが少々読みにくいという欠点はありますが、当時の制作陣の熱意など見どころはかなりあるのでそちらを楽しむ事もできる一冊なので、是非一度手にとっていただけると嬉しいです

そしてこの物語に魅了されたなら……

ガンプラも、作ろう!(大声

申し訳程度ですが、こちらでもガンプラの紹介をしているので参考までにどうぞ

さらに、個人的にこれだけ持っておけば最低限プラモを作れる状態になれるアイテムも紹介しています

なお、あくまで『個人的に最低限持っておけばいい』と思っているモノなので、不足などあれば自身で集めていくといいでしょう

ということで今回はこれで失礼させていただきます

ではまた!